遺留分侵害額請求の手続きの流れ|時効も併せて解説
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた最低限の遺産の取り分のことを指します。
これは、各相続人の生活保障などのために、最低限の財産取得を保証する役割を持ちます。
不平等な遺言があったなどの原因で自己の遺留分が侵害された場合、被害者は遺留分侵害額請求を行うことが可能です。
ここでは、遺留分侵害額請求の手続きの流れについて、時効も併せて解説します。
遺留分侵害額請求の手続きの流れ
- 条件を満たすか確認する
まずは、遺留分侵害額請求を行うことができる条件がそろっているか確認しましょう。
請求を行うためには、以下の条件が必要です。(時効期間の詳細については後述)
・被相続人が死亡したこと
・遺留分が侵害されたこと
・請求者が遺留分権利者であること
・請求の時効期間が切れていないこと
侵害が起こったかを判断するためには、自己の法定相続分および相続財産全体を理解している必要があります。
事前に確認しておきましょう。
- 和解交渉
遺留分侵害額請求は、その名前から裁判によるものだと思われがちですが、その前により穏当な方法で遺留分侵害額請求ができる方法がないかを検討します。
例えば、協議によってすんなりと遺留分が返ってくるようであれば、わざわざ争いを起こす必要はありません。
また、内容証明郵便を送ることも有効です。
これを送ることでより強固に支払いを促す効果があるほか、時効を止めることもできるので、払ってもらうまでに時間がかかりそうな場合には必ず送っておくようにしましょう。
これでも解決に至らない場合には、家庭裁判所での調停を行うことになります。
この時、直接の話し合いはなく、調停委員を通した話し合いになるため、お互いに冷静な議論が期待できます。
これにより合意がまとまった場合には、調停成立です。
この際、調停調書が作成されることになりますが、これにより合意事項が証明されるため、遺留分が実際に払われなかった場合には強制執行をすることもできるようになります。
このような方法で遺留分が返ってきた場合は裁判手続きを進める必要はありません。
しかし、遺留分が返ってこないような場合は次の手続きへ進みます。
- 裁判所への提訴
ここまでに紹介した方法が失敗に終わった場合は、裁判所に遺留分侵害額請求の訴えを起こします。
この際の管轄は金額により簡易裁判所または地方裁判所に分かれます。
裁判所が遺留分侵害を認定すれば、請求者に対し、侵害された遺留分額を支払う判決が下されます。
- 判決確定後の執行
判決が確定した場合、相手方から判決に基づく遺留分侵害額を一括して支払ってもらうことができます。
遺留分侵害額請求の手続きは、以上のように進んでいくことになります。
遺留分侵害額請求の時効
遺留分侵害額請求権は、時効によって消滅してしまうものです。
ここでいう時効には、大きく分けて二つの種類が存在します。
まず、相続開始の事実および遺留分侵害事実が発覚してから1年が経過すると、遺留分侵害額請求権は消滅してしまいます。
次に、相続開始の時から10年が経過すると、遺留分侵害の事実に関する相続人の認識に関わらず遺留分侵害額請求権は消滅します。
時効期間が切れると、遺留分侵害額請求を行うことができなくなります。
遺留分侵害事実が発覚した場合は、できるだけ早く手続きを進めることが大切です。
相続については碑総合法律事務所にご相談ください
遺留分侵害額請求は、自身に保障された相続分を守るために重要なものになります。
もっとも、親族を相手に自力で争うというのは心労もかかりますし、場合によっては裁判に発展してしまうこともあるためかなり大変なものです。
そのため、遺留分侵害についてお悩みの際には弁護士への相談をおすすめしています。
相続についてお悩みの方は、碑総合法律事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
成年後見の申立てにか...
認知症などの影響で判断能力が不十分になってきた場合、その人に成年後見人を立てなければならないことが考えられます。もっとも、この時気になるものの一つに費用があります。成年後見の申立てには、どのような種類の費用がかかり、これ […]
-
法定相続分について
■法定相続分とは法定相続分とは、被相続人の財産を相続するにあたり、各法定相続人の取り分として法律上定められた割合をいいます。法定相続人とは、相続に際し遺言書などが存在しなかった場合に民法の規定により相続人となる存在をいい […]
-
遺言書の検認手続きと...
遺言は、民法などの法律に定められた方式や手続きを守ってないと、法律上は効力を持たないものになってしまいます。その手続きとして必要なものの中に、家庭裁判所での遺言書の検認手続きというものがあります。 検認手続きと […]
-
遺言執行者の権限とは...
家族が亡くなって、故人が生前遺言書を作成しているケースもあるでしょう。この時、遺言執行者を選任する方法があります。ここでは遺言執行者とはどのような権限を持った人なのか、選任するメリットはどこにあるかについて見ていきます。 […]
-
遺言書作成について弁...
遺言書の作成は、生前対策としてとても有効な方法です。相続だと、自分の子や兄弟姉妹、両親など法定相続人にしか財産を残せないのに対して、遺言書は、相続と異なり自らが財産の譲り先を決めることができるからです。 例えば […]
-
行方不明の相続人と連...
家族や親族が亡くなり、その遺産を相続するには、遺産の相続権を持つ法定相続人全員で協議を行う必要があります。もちろん法的拘束力を持つ遺言書がある場合は、遺言書に基づいた遺産相続となりますが、遺言書がない場合、遺産分割協議は […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
-
- 生前対策 弁護士 相談 都内
- 財産管理 弁護士 相談 都内
- 遺言書作成 弁護士 相談 東京23区
- 遺言書作成 弁護士 相談 新橋
- 成年後見 弁護士 相談 東京23区
- 生前対策 弁護士 相談 港区
- 生前対策 弁護士 相談 全国対応
- 成年後見 弁護士 相談 新橋
- 相続問題 弁護士 相談 都内
- 財産管理 弁護士 相談 新橋
- 相続問題 弁護士 相談 港区
- 財産管理 弁護士 相談 全国対応
- 相続問題 弁護士 相談 新橋
- 財産管理 弁護士 相談 港区
- 生前対策 弁護士 相談 東京23区
- 遺言書作成 弁護士 相談 全国対応
- 生前対策 弁護士 相談 新橋
- 相続問題 弁護士 相談 全国対応
- 成年後見 弁護士 相談 港区
- 遺言書作成 弁護士 相談 都内
資格者紹介
Staff
代表弁護士 大野 康博 (おおの やすひろ)
-
- 所属
-
- 東京弁護士会 登録番号 23191
- 平成14年~現在 東京家庭裁判所家事調停委員
- 平成24年~現在 原子力損害賠償紛争解決センター仲介委員(文部省)
-
- 最終学歴
- 早稲田大学法学部
-
- 注力分野
-
- 遺産相続・後見
- 消費者被害
- 交通事故
- 労働
- 借金問題
- 企業法務
- 刑事事件
- 離婚男女問題
-
- 自己紹介
- 弁護士歴20年以上の経験で培ったリーガルサービスを多くの方にご体験頂く為にご相談者の目線にあわせた各種サービスを取り揃えております。お気軽にお問い合わせください。
事務所概要
Office Overview
事務所名 | 碑総合法律事務所 |
---|---|
代表者 | 大野 康博 ( おおの やすひろ ) |
所在地 | 〒105-0003 東京都港区西新橋1-20-3 虎ノ門法曹ビル804 |
TEL/FAX | TEL:03-3595-1631 / FAX:03-3595-1632 |
営業時間 | 平日 8:00 〜 24:00 (事前予約で休日、時間外対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝日 (事前予約で休日、時間外対応可能です) |
アクセス | 都営三田線/内幸町駅徒歩3分 東京メトロ銀座線/虎ノ門駅徒歩3分 山手線/新橋駅徒歩7分 |