成年後見制度の問題点とは?弁護士がわかりやすく解説
両親が高齢になると、認知症の問題も真剣に検討しなければなりません。
もし認知症に親が立って、自力で財産管理が難しくなった場合、成年後見制度は適当な対策の一つといえます。
口座の凍結防止になりますし、認知症の親に変わって預貯金を動かせます。
一方で成年後見制度には問題点もあるので、活用する前に留意しておかないといけません。
本稿ではどのような問題点が考えられるかについて解説していきます。
成年後見制度の問題点
成年後見制度を利用するとメリットも期待できる半面、問題点を抱える可能性もあります。
問題点として次のようなことが挙げられます。
亡くなるまで基本取り消しができない
成年後見制度は当人の判断能力が回復したり、亡くなったりするまでにずっと適用される制度です。
この部分を勘違いしている人が多く、預貯金の規約や遺産分割協議など課題が解決すればおしまいというわけではありません。
あくまでも当人の保護が目的なので、当人の抱えている問題が解決するまではずっと有効です。
認知症が回復する可能性は低いので、一度適用されると亡くなるまで続くものと認識しましょう。
第三者が選ばれる可能性
成年後見制度というと申し立てた人、すなわち配偶者や子供などが担当するものと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし必ずしもこのような候補者が成年後見人になれるわけではありません。
裁判所は申立人の希望ではなく、当人にとって利益になる人から選出するからです。
裁判所がふさわしいと判断すれば、司法書士や弁護士などの第三者が後見人に選ばれる可能性もあります。
制度上の問題点
成年後見制度の問題点として、制度上の課題もあります。
柔軟な財産管理が難しいですし、成年後見人への報酬も必要になります。
柔軟な管理ができない
後見人は包括的な財産管理の権限があり、本人に変わった行為が求められます。
よって財産処分するのは当人の利益になること前提で、家族や親族の利益になるものではありません。
子供や孫の教育費の支援や家族の治療費などでねん出はできません。
また、居住用の不動産も売却するためには家庭裁判所で許可を受けないといけないので、柔軟な財産管理や運用はできません。
成年後見人への報酬が必要
第三者が成年後見人に選ばれると、報酬を月々支払わないといけません。
本人の財産額に応じてなので、金額はまちまちですが、月額2~6万円程度支払うのが相場です。
また身上監護上困難であると認められた場合には、成年後見人の基本報酬額の50%を上限として付加報酬として支払わないといけない場合もあります。
多数の収益不動産を保有しているので管理が大変、親権者間で意見の衝突があり、仲介も担当しなければならない場合などが該当します。
まとめ
成年後見制度は認知症になった高齢者の財産管理ができる半面、自分たちではなく第三者が選任される可能性があることや、その人が亡くなるまでずっと担当しなければならないなどの問題もあります。
またそもそもこの制度を知らないという人が多いのも深刻な問題です。
もしもの際にこのような制度があると、周知徹底する必要があるでしょう。
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